Q 離婚した元夫が子どもの養育費を支払ってくれません。そこで養育費分担を求めて調停をしようと考えていますが、現在、子どもは私立の学校に通っています。この私立学校に関する教育費も養育費として認められるでしょうか。

A 養育費の額についての話し合いがまとまらない場合は、調停又は審判で解決することになります。家庭裁判所が参考とする算定表は公立の学校教育費を前提としていますので、私立学校の教育費が認められるか否かはケースバイケースです。

 

1 養育費・婚姻費用の算定表について

家庭裁判所には、婚姻費用・養育費の算定方法につき長年の研究と膨大な実績がありますが、平成15年に東京・大阪養育費等研究会が、この研究と実績を基に、簡易迅速な養育費等の算定を目指して、養育費・婚姻費用の算定方式と算定表の提案をしました。

今ではこの算定方式と算定表が広く浸透し、家庭裁判所において参考資料として広く活用されています。(http://www.courts.go.jp/tokyo-f/vcms_lf/santeihyo.pdf

 

2 算定表が前提とする学校教育費について

この算定表の基となっている算定方式から得られる養育費は、公立中学・公立高校に関する学校教育費を含むものとされ、現実に私立学校に通う場合の学校教育費を考慮して算出されたものではありません。

 

3 子どもが現実に私立学校に通学している場合について

それでは子どもが現実に私立学校に通学している場合、その点は養育費の額の算定にあたって一切考慮されないのでしょうか。

この点はまず、義務者(養育費を支払う義務のある者)の収入が公立中学・公立高校の子がいる世帯の平均年収を上回る場合には、算定表に従ったとしても、結果として、公立中学・公立高校の学校教育費以上の額が考慮されていることになります。

また、離婚前に両親が子どもをその私立学校に通わせることを既に合意しているのであれば、その事情を説明し、公立中学・公立高校の学校教育費を超える額(超過教育費用)について適切な分担を求めるべきでしょう。考え方としては、この超過教育費用につき、これを当事者双方の基礎収入で按分する方法(按分説)と、当事者双方に2分の1ずつ負担させる方法等があります。

裁判例(審判の抗告審)においても、養育費算定表により算出された婚姻費用を修正し、子どもの私立学校における学校教育費等を考慮すべきであると判断した事例があります(大阪高決平成26年8月27日判タ1417号120頁)。これはあくまでも個別事案に対する判断ですが、超過教育費用を当事者双方に2分の1ずつ負担させる方法に拠ったものです。

一方、義務者が元々、子どもを私立学校に通わせることに明確に反対していた場合や、離婚後に、権利者(養育費の分担を請求する者)が義務者の承諾なく子どもを私立学校に通わせることとした場合は、夫婦の学歴、収入、生活状況等の個別の事情を考慮したうえで、私立学校の学校教育費を養育費の額に考慮するべきか否か判断がなされることになると考えます。

  (文責:弁護士 大野武志