Q 勤務態度・勤務成績に問題がある社員を解雇したところ、外部の労働組合(一般労組、合同労組)から解雇撤回を求める団体交渉の要求書が届きました。どのように対応したらよいでしょうか。

A 外部の労働組合であっても団体交渉権がありますので、要求書を無視することなく、団体交渉に応じる必要があります。

最近、解雇や残業代などの個別労働紛争に外部の労働組合(「一般労組」「合同労組」などと呼ばれます)が介入し、会社に対して団体交渉を求めるという事案が多発しています。

このような場合に会社側が団体交渉要求を無視したり、拒絶したりすると、不当労働行為(労組法7条2号)に該当することになり、労働委員会による救済命令の対象となってしまいます。
そして、使用者の作為を命じる救済命令が確定した場合、1日あたり最高で10万円の過料に処される可能性があります。
したがって、外部の労働組合であっても、団体交渉の要求を無視したり、拒絶することは適切な対応とはいえません。

なお、労働組合を称する団体が、本当に労働組合なのか判然としない場合があります。そこで、団交申入書が届いた時は、まず、上部団体や当該組合のホームページを確認します。それでも疑義がある場合は組合員名簿や組合規約の提出を求めるという方法もありますが、これらの不提出を理由に団体交渉に応じないことは、不当労働行為に該当する可能性がありますので、注意が必要です。

もっとも、団体交渉に応じたからといって、組合からの個別の要求を容認する義務があるわけではありません。
会社側が誠実に団体交渉に応じている限り、要求事項に対してはゼロ回答ということもあり得るわけです。

なお、団体交渉について明確なルールが確立されているわけではなく、実際の交渉においては相手方(組合)の出方に応じて臨機応変に対応する必要があります。たとえば、会社側の出席者に対して心理的圧力を加えたり、言質をとろうとするなど、戦闘的な組合も存在しますので、注意が必要です。
また、議事録等の書面に署名や捺印を求められれることがありますが、これに応じる義務はなく、むしろ、絶対に応じるべきではありません。組合側に都合の良い記載がなされている場合が多く、署名・捺印した場合は記載された事実を認めたものと解釈される可能性があるからです。

思わぬことから足元をすくわれないようにするためにも、団体交渉に臨むにあたっては、事前に十分な準備をしておく必要があります。
設問の事例では、団体交渉前に、解雇に至る経緯や裁判所に事件が持ち込まれた場合の見通し等について、十分に確認・整理・検討する必要があります。その上で、組合からの要求事項に対する会社のスタンスを決定し、交渉に臨むことになります。