Q 営業成績が悪く勤務態度も悪い社員を辞めさせたいのですが、すぐに解雇できるのでしょうか。

A 十分な指導・教育をしないで解雇をすると、裁判所では無効と判断される可能性が高くなります。

 営業成績や勤務態度が悪いというだけで、社員をいきなり解雇した場合、裁判等で争われれば無効と判断される可能性が高いでしょう。その場合、解雇後もその社員との間の雇用関係の継続が認められ、その結果、解雇後の給料の支払いを命じられることになります。

 このようなリスクを回避するためには、まず、営業成績や勤務態度が具体的にどのような問題があり、どの程度悪いのか、合理的な資料を確保する必要があります。そうでないと、「営業成績や勤務態度が悪い」という前提が証明できなくなります。

 次に、営業成績向上や勤務態度改善のために、本人に注意・指導・教育を実施することが必要になります。

 営業成績や勤務態度の評価については、本人の自己評価と会社の評価が食い違っていることが多いため、まずはそのギャップを埋めることから始めるべきでしょう。具体的には、本人と面談を行い、会社として営業成績や勤務態度を問題視している理由や会社が本人に期待している役割を伝え、改善するためにどうすればよいかについて理解してもらうことになります。人事考課を実施している場合には、その内容を本人にフィードバックすべきです。

 また、本人に原因の分析と改善方法を検討させてレポートを提出してもらうことも一つの方法です。 

 記録(証拠)を残すという観点から、書面で注意、指導を行うほか、面談記録を作成・保管する、電子メールのやりとりを保存する等しておきます。取引先からの苦情があればそれも記録しておきます。

 さらに、配置転換や職種の変更が可能な場合には、本人が適合しやすい職務に配置替え又は職種変更を行うことも検討すべきでしょう。

 以上のような指導を複数回行っても改善が見られない場合には、離職してもらわざるを得ないケースもあり得ます。

 その場合でも、解雇に先立って、退職を勧奨し、本人に自主的に退職してもらうように努めるべきです。

 上記のような努力をしても解決できない場合にはじめて、普通解雇の可否を検討します。解雇を実施する際には、それまでに実施した指導・教育や本人の対応、改善の有無・今後の改善の見込み、本人の労務提供が会社に与える影響等を証拠の有無を含めて吟味した上で、裁判所で無効と判断されるリスクを慎重に見定めなければなりません。

 なお、実際に取るべき対応は、会社の業務内容、規模、人事考課制度、労務管理の方法、風土、社員の性格等事案に応じて異なりますので、上記はあくまで一般的な視点であるとご理解ください。

 また、専門的スキルや他社での経歴・経験を重視して中途採用した社員については、上記とは異なる対応が必要となりますので、ご注意ください。

(文責:弁護士 赤堀有吾

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